この度建物も新築された井田支店の正面、
大小5本の道が集まる交差点に向かって高さ3.5mの御影石モニュメントを作りました。
タイトルを「結 - 岐」・KEKKIとしました。
集結する過去と分岐していく未来の狭間にある今という点を表現しました。
地理的には勿論、歴史的にも人々の営みにとってここは時空を超えた交差点です。
岡崎市は何よりもまず徳川家発祥の地です。
江戸幕府を開いた家康公はまさに英雄として今でも尊敬されています。
徳川家の菩提寺である大樹寺には19歳の家康公が戦に敗れ逃げ込み
追手に囲まれて観念したところを住職に諭され、
平和な世を作ろうと決起したという言い伝えがあります。
KEKKIとローマ字表記したのはそのためです。
始まりは昨年の11月、このような絵を描いて提案しました。
ほとんど完成品と同じですがそれはこの原石ありきで立案したからです。
茨城県産の稲田石、今ではこのサイズの国産石はなかなかありません。
かなり前に山から切り出してあったものを購入させてもらいました。
12月中ごろから工場の機械で大きな部分を切り落とし
正月早々にまず補強のため2mのステンレス棒を埋め込みました。
今回の作品形状は途中がくびれて穴も開いているので念のための処置です。
その後はひたすらハンドツールで彫り進みました。
厳しい作業が予想されたのでお手伝いの学生さんをお願いしました。
写真に写っているのは彼ばかりですが僕もちゃんと仕事しました。
2月中旬ようやく貫通し形が出来上がりました。
ここからは時間が許す限り磨きです。
回転させる都合上屋根のないところでの作業となり雪の中でも磨きました。
そうして2月下旬、設置日を迎えトラックに積み込みました。いざ岡崎へ。
今回は遠方のため基礎形状などメールや電話でのやり取りばかりで
設置前日に初めて自分の目で現場の状況を確認しました。
作品を建てにするのもぶっつけ本番、久々にヘルメット被って本気モードです。
現場の準備も万全でクレーンオペの方も素晴らしくテクニシャンで無事設置出来ました。
冒頭の写真は設置直後、まだ土を被せてない状況のものです。
立案から設置まで4か月弱という長くはない時間の中で
工場の方々も手伝いの学生も現地の施工会社も皆さんよくやってくれました。
先日迎えた除幕式には制作側の人間は僕だけ参加しましたが
作るにあたってお世話になった沢山の方々を思うと気恥しいです。
何はともあれ、この作品が岡崎の方々に受け入れてもらえることを祈ります。